★1泊2日で佐渡島に行って来た。
直前までクライミングに行くか、ひさびさにヲカダと無計画な旅に出るか迷っていたが、天気も悪そうなので前から行きたかった佐渡島に向かうことにした。
直江津から朝7時発のフェリーに乗り、佐渡の小木に9時半に着いた。結構、近いものだ。レンタカーを借りようとしたが、1時まで全部出払っているということで、レンタチャリで近くの宿根木(くわしく知りたい人はこっち1
2
3)という集落に行くことにした。
宿根木についての詳細はここではかかないけれど、佐渡島の中ではうまく観光地化に成功した(あるいはしつつある)場所である。長野でいえば、小布施、岐阜の高山のようなところ。
写真:佐渡のいろいろ
★宿根木は新潟県では唯一「重要伝統的建造物群保存地区」に指定されており、岐阜の高山と同じように消火器やクーラーの室外機が茶色に塗られていたりする。おそらく許可無しに増改築は不可能なのだろう。この集落は海辺の入り江の奥の小さな平地にひしめくように民家が建ちならんでいる(こういう風に:まちなみネットより)。昔、寅さんの31話がここで撮影されたそうだ。ちなみにヒロインは都はるみ!
★宿根木の民家の路地をふらふらと歩いていたら、不思議な石の置物が置いてある茶屋を見つける。中を覗くと奥に庭が広がっていて、なかなか落ち着けそうなスペースだ。ぜんざいを食べようということで中に入る。
すると中ではひげをはやし、着物を着た翁と、店のオーナー
がいた。オーナーはしばらくしてどこかに行ったが、その翁は我々に話しかけてきた。よくよく話しを聞くと、おの翁はこの茶店の設計、デザインをしたそうな。仙人のような風貌ではあるが、達観したかのような抽象的なことをいう「おじいさん」ではなく、宿根木という町を活性化するための確かなビジョンをもたれているように感じられた。言葉の端々に知性も感じられるし、なにより上品な方であり、なにやらただ者ではない雰囲気を醸し出している。この人物に少々興味を持った私は、宿根木で生まれ育ったのかと聞くと、いやいや、博多で生まれて、20年前に旅に出て、すこしづつ居を移しながら北上し、佐渡の宿根木まで辿り着いたそうな。今後も旅を続け、北海道の宗谷岬を人生終演の地と決めているそうな・・・
名前を聞くと、それには答えず、茶店の庭の四阿に飾られている般若心経の書を指さした。それには「泉 椿魚」と書いてあった。後で店内を見回すと、壁に飾ってある書や絵、さらに本までこの名前が書かれていた。ふーこの人は何者なのだろう・・・
翁は日本各地にあるこのような人のぬくもりの残る町が、荒廃し、滅びつつある現状に対し、何とかできないものかと考えているようで、我々に熱く語り始めた。どうやらこの店もそういった思いからボランティアでデザインしたような感じだった。なんかただの旅人というよりは、芸術家でありプロデューサーであるといった印象を受けた。
その後、茶店を出る時、いろんな話しを聞いた我々に、この翁は我々に優しく「良い旅したね」と声をかけたのだった。
★家に帰り、
この翁について調べてみた。やっぱり有名人だった。
翁の正体 この茶店のこと(名前は「やました」でした)
宿根木はおすすめの場所かも知れません。長野からチャリンコを積んで日帰りもOK! しかし、宿根木に止まってみるのはもっとよさそう。今度は泊まりにいくっす。
★村上春樹「アフターダーク」を読む。
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