滝谷出合〜第四尾根

平成21年5月3日-5日
参加::dani、ジャック
ルート:滝谷出合から第4尾根

  昔、正月に挑んだのだが、大量降雪とビビリのため見事敗退。また、涸沢岳西尾根経由で北穂冬季小屋にもぐりこんだときも悪天で敗退している。冬季は全部ダメで、春なら何とか登れるだろうかということでとりあえず行ってきた。それでもびびってたけどね・・・

<5/3>
10:00 dani家集合
13:00 新穂高無料駐車場
16:00 滝谷出合
19:30 就寝

  前日の天気予報で5/4-5と天気が悪そうだということで一旦中止にしたのだが、朝8時にのんびり起きて天気予報を見てみると5/4の天気予報がよくなっているので、あわててジャックさんに電話していくことにした。どうせ初日は滝谷出合避難小屋までなのだ。

  仕事で忙しく、ろくに準備をしていなかったので10時までにドタバタと装備を準備する(なので無線機のアンテナを忘れた!)。10時にジャックさんに迎えに来てもらい、いざ出発!しかし、高速にのったら更埴IC過ぎくらいからいきなり渋滞。これも1000円効果か?少し前まで車はなるべく使わないようにとか、公共交通機関でとか、国もモーダルシフトをうるさく言っていたのに、景気の悪化とともにこのざまだ・・・それでも大渋滞ではなく、なんとか午後1時ごろに新穂高についた。

  新穂高ではスノーシェッドの途中から左に入って奥に進むと村営駐車場?があって無料であった。駐車場の奥から新穂高方面への歩道があった。県警の詰め所で計画書を出して出発。天気はまあまあ。初日だから足取りも軽い。

 白出小屋の手前あたりからようやく道に雪が見え始める。以前3尾根のワンデイをやったときは出合の避難小屋まで3時間半かかったのだが、今回は3時間弱で到着。避難小屋を覗くと、単独の若者が寝ていた。また、スキーヤーのものとみられるデポ品が。自分たちは明け方に出発するので、寝入りばなに泊まりの人がきたら寝られないので外で泊まることにして、滝谷の右岸側の雪渓上にテントを張った。明日は2時起きなのでとっとと寝る。
  単独の人は滝谷に登りに来たが、今日避難小屋の前のボルダーで遊んでいたらケツから落ちてしまったので登らないかも・・・と言っていた。また、何処登るのか決めてないとも言っていた。その後見なかったがどうしたろうか。


<5/4>

2:00 起床
3:30 滝谷出合出発
5:20 合流点
6:50 スノーコル
18:00 登攀終了
18:30 涸沢岳のコル泊

 今回は初めての4尾根だし、スノーコルで前日入り、あるいは北穂側から下降して取り付くパーティーの存在による待ち時間の可能性を考えて、ルート上での泊を覚悟していた。軽量化して避難小屋を使ったワンデイも考えたが、リスクあるかな〜と思ってあえて重荷を選択した。結果的に言えば、4尾根はいろんな場所からD沢に逃げられるなど(ツルムのコルからも)敗退しやすいルートだったから、どうにでもなったかもしれない。また、スノーコルは雪洞可能である(実際今回雪洞あとがあった)。テントはツルムの肩とツルムのコルで可能だが、前者の方がよいようである。いずれにしても狭い。

  さて、今回は3:30発ということでもう少し早く出てもよかった。雄滝は出合から昨日見た限り結構雪がついていた。実際行ってみたらパックリだったらどうしようと思っていたが(雪がつながってない場合は右岸を巻くようですね)、ぎりぎりつながっていたのでさっさと通過。以前来たときは結構苦労して這い上がった記憶があったが、今回は素通りといった感じだった。
  結構早く合流点に到着。C沢は2度目だから迷わなかった。スノーコルにまで足あとが続いていて、最近掘られた雪洞があった。なかなか立派な雪洞でした。
  ここで無性に脱糞したくなったのでリッジ上で脱糞。すみません。。。

  さてようやく登攀開始。スノーコルから少し上がってからロープを使おうとダブルアックスで斜面を登り始めると、どうやら最初のピッチであるような気がしてきたので途中でピトンとカムでビレイ点を作ってロープを落としてジャックさんをビレイする。そこから3ピッチ?よく覚えていない。途中のっこすところでアブミA0を使った記憶がある。

  次にBカンテは磨かれたカンテとトポにあったが、磨かれたって何?と思っていたら、つるっとしたすっきりしたリッジだった。ホールドがほとんどないようにみえたが、素手になればカチ持ちができて登れる感じ。厳冬期は結構きびしいかもしれない。

  正面にツルムが近づいてくる。ツルムの肩までは3ピッチ。これも無我夢中だったのかよく覚えていない。下のガリーはダブルアックスで登れて快適だった。ピナクルのところはピナクルの左をまくのですね。ピナクルをまいたところから、もう1ピッチのばしたが、最後のルンゼ手前でロープが重くなってピッチを切る。そのルンゼのっこし(結構登りにくかった)と懸垂地点までジャックさんに行ってもらう。ちょうど懸垂地点くらいのところが幕営適地らしいのだが・・・

  懸垂には残置の環付ビナが1つ、麻のロープが大量の捨て縄に混じっていた。スリングは大量なのだけど、ピトンが貧弱で・・・でも加えずにさっさと下る。15mくらい。クライムダウンできなくもない。しないけど。

  あとはトポでは2ピッチ。1ピッチ目悪そうだな〜と見ていると、ジャックさんが登るという。おおっすばらしい。このピッチはリッジのすぐ左のフェースを少し登って、上部右がチムニー状になっている。でも荷物を持っているので、フェースの部分をA1で抜けた。アイゼンフリーは結構きびしいピッチ。フォローも大変だった。下部もそれなりに難しいし、ホールドははがれそうなのが多いので注意。チムニー抜けたところがテラスになっていてビレイ点があった。そこからラストピッチ。

  ラストは2段に分かれていて、上下でピッチを切るパーティーもいるようだ。自分はランニングをながーくとってつなげた。下段は出だしをナッツにアブミをかけて抜けて、上部はフリーで途中まで行き、抜け口のフリーが悪いのでカムの人工も交えて抜けた。上部も2段に別れていて、下部は割れた岩に乗っかる感じで崩壊したらどうしようなどと思い、簡単だが気味が悪かった。上部の抜け口は右足を右のクラックに上げ、左でカチを保持して右手で左上にある残置にアブミをかけてA0で抜けた。自分は知らなかったが、このピッチをトラバースしてパスすることもできるようです。でもアブミをつかうんだったら、どうやったって抜けられると思います。

  そこで終わりかと思っていたが、あと1ピッチ念のためロープを使う。これで実質終わり。全体に1ピッチ1時間ペースくらいになってしまったので(全11ピッチくらいになったような)ここで確か5時過ぎだったろうか。あとは縦走路まで100mちょい、雪と氷の斜面をダブルアックスで登って終わり。涸沢のコルまでは尾根を1つ越えて斜面を下るだけ。コルは2つあるが、手前のコルのほうがテン場にはよい。この日は一張りあった。ラジオがなっていた。そこを越え、涸沢槍の登り手前のコルが涸沢のコル。そこはD沢への下降点でもある。ボラードの懸垂でも必要かなと思っていたが、バックステップでしばらく降りるだけでいけそうだ。今日はこのコルで泊。

  クライミングは難しいところはないのだけれど、崩壊しそうな岩ばかりに見えて、なかなか引けるホールドもなく、スタンスにもガツンと置かないように超気を使ったので、疲れた。常にスノーコル以外で荷物も置かなかったので、肩や腰が疲れた。ビレイ時のロープの引き上げもロープが重くなることが多くて、疲れた。。。

  脱水気味だったので水を大量に取って飯も食って横になる。ぺらぺらのシュラフでもすぐに寝付けた。すぐに目覚めたけど。
 

<5/5>
 シュラフは夏用の綿にしたので稜線上では寝られないと思っていたけど、ケツのところに手袋とか目だし帽とか詰めておけば、それほど底冷えすることはなかった。何度も目覚めては寝返りを打つのを繰り返すのは、ダウンを持ってきても同じだろう。

  朝、天候が悪くなっていると思っていたが、晴れていた。なのでD沢下降に決定。大急ぎで下る。シリセードせずに歩いてくだっても2時間かからずに出合に戻る。やっと安全圏に入ったと感じてホッとする。D沢は雪崩は来なかったけど、デブリは大量にあるし、音もせずに小石が弾丸のようにはねて落ちていくのが恐ろしかった。これがバンバン来たなら、さながら二○三高地かノルマンディー上陸作戦か。

  昨日は大丈夫だった雄滝は明るいときに見たからか、やや割れ目が大きくなっているように見えた。いずれにしても近日中にだめになるだろう。下れないときは右岸を巻くらしいが、左岸側の潅木を使って懸垂できるような気もした。


 
<装備(dani)>
2人用ゴアテント、夏用シュラフ、ゴアシュラフカバー、ビーコン、スコップ(スノーバー兼)、 無線機、携帯(稜線以外入らない。避難小屋では入る)、ロープ9mm×50m、アックス2

<ギア>
キャメ1,2,ジュニア、エイリアンちっさいの、ピトン(ナイフブレード2、アングル1、ロストアロー2)
ストッパー4つ
キャメ1番以下3つくらい持っていけばよく使うと思う。ピトンも3本程度あったほうがいいと思う。ストッパーも何度か使った。

<軽量化について>
 今回はマット、食器はカット。替えはグローブ、靴下のみ。食事はアルファ米などを利用した。もう少し難しいルートに行くにはテントをツェルトにしたり、食料の量を減らす必要があると思う。二人とも久々のアルパインだったからか登攀速度はきわめて遅かったように思う。パーティーを組んだのも初めてだったし、アイゼンフリーの練習も少しはしておくべきだった・・・

滝谷出合避難小屋 合流点間近 合流点。真中はC沢。
C沢(左)とD沢(右) C沢を登る 4尾根のオアシス スノーコル
D沢左岸側のアイスガリー
B、Cカンテ、ツルム 第3尾根
Aカンテくらい? BカンテCカンテ間のリッジ? Cカンテ?
Dカンテ取り付き? Dカンテの抜け口 Dカンテ
涸沢ヒュッテ方面 涸沢のコル D沢を下る
こえ〜 雄滝左岸側を上から見る 雄滝出口
   
雄滝    


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