明神岳東稜

平成19年5月3日-5月5日
参加者:CL:dani、SL:こごどん:、N谷さん、YO君
ルート:明神岳東稜〜奥明神沢下降〜岳沢

動画(ダルダルで42MBもいってしまった)

先日の五竜の件もあったので、今回は慎重に行くと心に決めていた。キーワードは「ご安全に!」
なので、スーパークラシックルート、明神岳東稜へ。

<5/3>
6:00 合庁集合
7:00 松本合庁(こごどん合流)
8:00 沢渡
9:00 上高地
12:00 宮本のコル
13:30 ひょうたん池のコル

 明神岳東稜に行ってきた。最初は前穂北尾根を考えていたが、GWはかなり混雑するような気がしたので、明神岳東稜を選択した。メンバー全員行ったことがないというのも理由の一つだった。

 上高地へは沢渡からタクシーで。4人4000円と昔より少し安くなった気がする。特に渋滞することもなかった。明神に向かう途中、明神岳の5峰がよく見える。上高地から明神まで歩き、養魚場に向かう。しかし、昔行ったことがある明神池のほうに行ってしまった。結局、「ひだや」さんで養魚場を教えてもらい、無事踏み跡に入ることが出来た。養魚場は明神の橋を渡って、梓川右岸へ渡った後、右に折れて少し行くと左に入り口がある。

  養魚場からしばらくは赤布などに助けられ沢をつめる。何人かの足跡を雪渓上に確認しながら登るが、気がつくと赤布と足跡が見当たらなくなる。どうやら少し沢を詰めすぎたようで、少し下ってからトラバースする。再び沢に入り、ようやく宮本のコルに出る。このころ先行パーティーを2組確認。1組は少し先を歩いており、もう1組はひょうたん池から先の明神東稜に取り付いていた。

  我々は左から落ちてくる雪や岩に注意しながらひょうたん池に向かう。すでにお昼になり、非常に中途半端な時間帯である。13時過ぎにひょうたん池につく。つくと1パーティーが既にテント泊しており、先行のパーティーはギア類の準備をしている。ここからバットレス基部に向かうパーティーは少なくとも2組いることになる。

  我々は1組目のパーティーが東稜の最初から結構苦戦して時間がかかっていたため、順番待ちを考えれば明るいうちにバットレス基部までいくことが困難と考え、ちょっと早いがひょうたん池泊を決めた。

  テントを張って明るいうちから酒を飲む。するとこごどんがオヨヨり、普段からのクドさと無礼加減に磨きがかかってしまい、ちょっと困ってしまった。皆、同じ話しを5度は聞かされた。
  テントの中から先行パーティーを見る。ロープを出しているからか、なかなか進まない。多分バットレス基部に着いたのは暗くなる直前だったのではないだろうか。

  急ぐ理由はないので、ひょうたん池に泊まったのは適切な判断だったと思う。でなければ、さんざん順番待ちをして、最後はヘッドランプの世話になったかもしれなかったし。

  こごどんはよっぱらいながら、「俺がリーダーだったら、行ったな」 などと何度もほざいたので、トイレに出たときセッピの向こうに突き落としてやろうかと思ったが、器のデカイ俺は忍の字でガマンした。

 夕ご飯はN谷さんの鳥鍋。うまかった。 
 なんだかんだで夜は更けていく・・・

ひょうたん池のコル、明神岳5峰 下宮川谷上部

宮川のコルにて
後はひょうたん池のコル

これは5峰東壁を上宮川谷から見上げた写真。最新の岳人No.719にM目さんの記録あり。
 
ひょうたん池直前  


<5/4>
3:30 起床
5:30 ひょうたん池のコル発
9:30 バットレスのコル
11:45 明神岳山頂
14:00 奥明神沢のコル
15:45 岳沢テン場

 昨日は夕方から雪が降り5cm弱ほど積もった。夜中には雷が何度もなって不気味だった。最初はデカイ雪崩が来たのかと思って怖かったが、すぐ慣れて寝てしまった。

 朝テントを出ると、隣のパーティーも起きている。向こうは2人だから、先行ってもらった方がいい。
 先行パーティーから遅れること30分くらいで我々も出発。

 最初の急斜面に行くと、ハイマツと岩と雪のミックス。ビレイするかしないか迷う程度の斜面だが、岩も出ているし初心者もいるので、ロープを出す。1ピッチ上がってダケカンバにFIXする。皆にプルージックであがってもらい、2本目のロープで2ピッチ目をFIXにかかる。このピッチ以外は傾斜もきつくなく、安定した雪がついていた。高度感に慣れていれば、十分フリーでいけるピッチ。結局、露岩にピトンでアンカーを作ったり、スタンディングアックスしたり、スノーアンカーを作ったりで、この急傾斜のセクションを抜ける。

 その後、広い雪面ややせ尾根も抜けながら、バットレスの基部に向かう。

 バットレスの基部は2組のテント跡があったが、大型のテントならかなり雪を切り出す必要があると思う。それほど広々した場所ではない。でも2人用テントくらいだったら4張りは大丈夫かな。

 バットレスの基部からの最初に岩場はバックロープを引いて左側を登り、上部の岩にあった残置ピトン2枚+補強しFIXする。そこから少しやせ尾根を歩けば、核心の凹角ルートだ。今年は雪が少ないのかと思っていたが、本で見ていた写真より雪が多く、核心部の半分は歩いてあがることが出来た。核心も残置は豊富にあり、腐ったFIXが上から垂れてきている。しかし、唯一のクライミングのピッチなのでフリーで行く。残置スリングも、ろくなものではない。こういうところで残置スリングや腐ったFIXを目いっぱい引っ張ってしまう人は、いつか事故ると思う。
  難しいところは、上部で右足が置けるような立派なスタンスがないところだけれど、左側のホールドをつかんで上に抜ける。すぐに左に少しトラバースし、残置支点をピトン1枚で補強し、FIXする。皆、なんとか越えてくる。
  その後も念のためFIXを山頂まで張る。時間がかかるが、安全のために張る。そこからは確か3ピッチ、左側をまくようにして山頂に立つ。

  明神岳山頂で全員で記念写真を撮ろうかと思っていたが、それほどラブリーな状況でもなく、先を急ぐ。予定では前穂〜奥穂とつなぐことも考えていたが、こんな調子では今日中に抜けるのは困難だし、明神・前穂間のコルから奥明神沢を下降することにした。
  コルまでは結局3ピッチ懸垂を交える。このうち2ピッチ分はクライムダウン可。

  奥明神のコルから下はスキーしてえ!斜面。アイゼンとってグリセードにピッタシ!
  どんどん下って、前穂からの下山者のトレースと合流。

  こごどんにコブ尾根と南稜のとりつきを教えてもらいながら下る。また、YO君と来年は板もってこよう!と約束。
  時間的に上高地に下ることも出来たが、急ぐ理由もないし、S山の会ご一行と会ったこともあり、岳沢でもう1泊となった。S山の会のテントに招かれ、ヒマラヤ登山で有名なIさんの話しを聞きながら、お酒をいただいた。あんな気さくな方だったとは・・・

  今回、FIXをかなり張ったのだが、有名クラシックルートは入山者が多い分、残置も多かった。しかしながら、やはり残置の信頼性は低く、しばしば補強のためにピトンを打ち足してアンカーを作った。いろいろ考えながら少ない手持ちのギアでアンカーを補強するのは創造的な作業で自分は嫌いではないのだが、皆にコレは自分が打ったものだから回収してね、という作業を怠ったため、結構残置されてしまった。自分が悪いのだけれど。とはいえ、残置はあって当然という意識が高いような気がした。実際は逆だと思うのだが。全て回収くらいの勢いでフォローして欲しい、と思った。

ひょうたん池のテン場から
最初の斜面をみる
最初の急斜面のピッチを越えたところ
バットレス基部直前 バットレスの最初の岩場を巻いているところ。手前の岩に残置ピトンあり。

頂上直下の雪壁。せっかく張った
FIXを無視して登るこごどん

2峰。縦走者のトレースあり。
ピークの左をまくように抜ける。残置が豊富で3級程度らしい。
明神山頂にて。背後は前穂。 パァ〜でんねん。



<5/5>
4:45 起床
7:10 雪上訓練開始
9:30 撤収
11:00 カッパ橋
12:30 沢渡駐車場

ゆっくり起きて、2時間ぐらいYO君に簡単な雪訓。
ビーコン探索、ビレイの方法、アンカー設置、などなど。

昼は下界で食おうと下山する。帰りに南西尾根の取り付きを確認する。次はここに来て見たい。

カッパ橋付近はいつもどおりものスゲー人。こいのぼりが風に揺れる。

タクシーで駐車場に戻り、せせらぎの湯に入って帰る。お疲れ様でした。


さよなら岳沢。



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